今春は「蕾」で歩く 入場行進曲の推移
出場選手が一堂に会する開会式は、スタンドの観衆にも心躍るひとときになる。力強い入場を支えるのが大会ごとに替わる行進曲といえるだろう。今大会は2007年のレコード大賞を獲得した「蕾」に決まった。母への思慕が歌い込まれ、多くのファンに支持されているという。
戦前、1934年(第11回大会)から4年連続、「陽は舞いおどる甲子園」で知られる選抜大会歌が登場した。80回の歴史の中で同じ曲が起用されたのはこの時期だけだった。それ以降は時代を映した、
誰もが知る歌の多用が目立ってきた。
戦時色が強くなった38年からは「愛国行進曲」「大陸行進曲」「紀元二千六百年奉祝歌」「国民進撃歌」と国民を鼓舞するメロディーが続いた。そして第2次世界大戦に突入し、選抜大会も5年間の中止という不幸を強いられる。
大会の復活した後はラジオの連続放送劇で人気の主題歌「鐘の鳴る丘」。シベリアに抑留されていた兵士が伝えた「異国の丘」は望郷の思いに生きる戦 友への応援歌でもあった。選手はどんな思いで甲子園の土を踏み締めただろうか…。行進曲にしては切なさが募るものであっただろう。
やがて「黄色いりぼん」「セントルイスブルース」など洋楽が加わり、60年代には「こんにちは赤ちゃん」「幸せなら手をたたこう」と若年層から年配者までが好んだヒット曲が流れた。
今大会は「蕾」でも異存はないが、93年に新しい大会歌として登場した「今ありて」でもよかったのではないか。作詞した阿久悠さんは昨年亡くなり、その追悼と感謝を込めて行進曲に推す人はいなかったのだろうか。
【写真】第79回大会の開会式で入場行進する大阪桐蔭ら各校の選手
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