魅惑のエース
エースとして昨年の第88回大会を制した斎藤佑樹投手(早実)の人気は早大に進んでも衰えない。彼の登板日には観客が大幅に増え、甲子園のヒーローはそのまま神宮に引き継がれている。
ブルーの小さいタオルで顔の汗をぬぐう。こんな仕草が「ハンカチ王子」と表現され、もてはやされた。昨夏の大会早々から騒がれていたのではない。勝ち進むことによって注目度が高くなり、決勝戦の再試合という劇的な背景も斎藤人気に拍車をかけた。
それに頂点を争った駒大苫小牧には大会3連覇への挑戦があった。今、楽天で活躍する田中将大投手が男っぽいタイプなのに比べ、優しさを漂わす斎藤は好対照。この組み合わせの妙も、日本人好みの構図であった。それにしても、女子学生だけでなく年配の女性にまで広がるファン層は珍しい現象だろう。
▽元祖アイドル
社会的な話題となったのは第51回大会の太田幸司投手(三沢)だった。こちらも松山商との決勝戦が延長十八回で引き分けての再試合。青森からやって来た新鋭チームが古豪に挑むけなげさが、判官びいきの甲子園にマッチした。
白面の貴公子の感があった太田には、白系ロシア人の血が流れている神秘性も、アイドルとしての要素だったようだ。甲子園のネット際に殺到した、女学生の津波のような群れは忘れられない。夏の大会に限れば、第59回大会の坂本佳一(東邦)は「バンビ」と呼ばれ、日焼けした細い首が印象的。第62回大会の荒木大輔(早実)も人気を博した。この2投手はどちらも1年生で奮闘し、全国のファンがしびれたらしい。実力のないアイドルは誕生しない。
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